企業の最大の支援者であり厳しい監視役でもある金融機関が企業に求めるものは何か?
金融機関との付き合いに悩む企業は少なくないと思う。
直接金融が発達したとは言え間接金融なくして企業活動は維持・発展できない。金融機関が社会の公器である以上、金融機関とその担当者は厳格なコンプライアンスに基づき活動することが求められているため、融資先の企業に対してもかなり厳しい様々な要求をするのである。
今回はその中で金融機関が求める財務指標について論じてみたい。金融機関が貸付金の評価をするにあたり金融庁の「金融検査マニュアル」に従って融資先企業を正常先から破綻先までに区分することを債務者区分判定と言うがこの判定により正常先、最悪でも要注意先に区分されなければ融資を受けることは難しい。またこの判定は融資先企業の決算書に基づく財務分析により大方なされてしまう。
この財務分析は
1.収益性(売上高経常利益率など)
2.安全性(自己資本比率、ギアリング比率など)
3.成長性(経常利益増加率など)
4.支払能力(有利子負債返済期間など)からなりこれを数値化して債務者区分を決定していくのである。
どの指標も重要であるには違いないが、3.成長性に関して急成長するベンチャー企業などの場合には評価が高くなる可能性も考えられるが、一般的な中小企業の場合に最も重要な指標は4.支払能力である。金融機関の立場にたてば営業キャッシュフローが黒字でありこれを原資として借金を何年で返せるのかが大問題なのである。支払能力があるということは1.収益性も2.安全性も同時に合格しているハズなので企業はキャッシュフロー計算書を必ず策定し、営業キャッシュフローを確認してこれを如何にすれば最大化できるかに全力をあげるべきである。
文責:髙田成郎