お客様から「キャッシュは如何ほど残高としてあればいいのか?」と聞かれることがある。
会社の状況に応じて質問の意図は大きく変わる。つまりお客さまが優良企業ならば「キャッシュ残高が多すぎるから有効活用した方がいいのではないか?」と言う場合もあるし、資金繰りに苦労しているならば「現在のキャッシュ残高では不安だ」と言う意味になる。
よくあるのは「キャッシュは月商の~カ月分」「月間総経費の~カ月分」必要だとか、「流動比率」「EBITDA」のような形式的な指標でのみ議論されているケースである。
さて頭を整理してもらいたい。まず重要なのはあなたが知りたいキャッシュに関する問題は「誰にとっての問題なのか?」ということである。
つまり
1、外部ではなくあなたや会社の不安の解決のため
2、取引先や金融機関などに対する説明責任のため
3、1と2の両方
1のケースで最も重要なのは「あなた、会社にとってのワーストシナリオの予算策定とその時のキャッシュポジション」である。この場合ワーストシナリオによってキャッシュ見通しがマイナスになるならば最低限マイナス分のキャッシュ残高を貯金しておく必要がある。
2のケースでは「キャッシュフロー計算書の作成」が必須であり、これにBSとPLを加えてそこから算出する「有利子負債返済期間(=有利子負債残高/営業キャッシュフロー+減価償却)」「インタレストカバレッジレシオ(=(営業キャッシュフロー+利息支払額+税金支払額/支払利息)などにより健全性を外部機関に説明する必要があるため、外部機関が求める有利子負債返済期間やインタレストカバレッジレシオ倍率をヒアリングにより確認することが必須となる。そして1とあわせて必要なキャッシュ残高を算出していくのである。
文責:髙田成郎